LL準備室

挿話 E (Ⅵ)


峠の向こうの町の総合高校の職員室は、教科ごとに分かれていた。
それまで勤めていた普通科の学校では、大きな職員室に多くの机が並んでいる中で仕事をすることが多かったので、とても新鮮だった。


英語科の準備室、LL準備室は特別教室棟の3階。
LL教室の隣。
(LL教室とは、名ばかりで、機器を使用するのはリスニングテスト作成の時だけだった。
英語の選択授業に加えて、視聴覚室として使用されていた。)


職員は外国語指導助手を含めて7人。


私が転勤したばかりの年は、男性3人、女性4人。


最年長のKさんは、その前の年まで、私と同じく、山に囲まれた小さな町の高校に勤めていた。穏やかで、気配りが行き届き、親しみやすかった。
Wさんは、私の前任校の卒業生で、彼女が教育実習生だったとき、私は彼女の指導担当者だった。
私と同じ年度に転入したOさんも、私の前任校の卒業生で、「教え子」のひとりだった。
前任校にゆかりのある職員が、過半数を占めていた。


準備室には、各自の机の他に、共用のコンピュータ2台とプリンターが載った長机、ロッカー、本棚、冷蔵庫があった。冷蔵庫の上にはコーヒーメーカー。
Wさんが世話役となって、集金し、コーヒー豆を注文してくれた。


私以外は、穏やかで、気が利く人たちばかりで、とても居心地のよい空間だった。